think001:断熱がなぜ必要なのか?
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TAWs DESIGNでは、「環境とつながりから創造する場づくり」を大きなテーマとして活動しています。2025年4月から大きな法改正が始まり、戸建住宅などの小規模な建物においても一定の省エネルギー性能を満たすことが義務づけされました。
そもそも、建物になぜ断熱が必要なのか?
こちらを、
1)冬期の死亡率とリビングの室温
2)冬期の健康かつ快適な室温が健康に与える影響
3)断熱性能向上が疾病改善の傾向
4)夏の熱中症の影響
という観点からお伝えしていきます。
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1)冬期の死亡率とリビングの室温
冬期の死亡増加率の都道府県別比較のグラフとなります。

このグラフより、北海道や東北など寒い地域より、関東圏(特に北関東)の冬期の死亡増加率が高いことが分かります。

次に冬季の死亡増加率と冬期リビング平均室温の図となります。
右側の冬期リビング平均室温の図を合わせて見ると、冬期の死亡増加率とリビングの平均室温に相関関係があることが分かります。
この傾向から、北海道や東北など冬寒い地域は、断熱をしっかり行っている住まいが多いが、北関東など気候が中途半端な地域は、断熱も暖房もしっかり行っていない住まいが多いことが分かります。
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2)冬期の健康かつ快適な室温が健康に与える影響
冬期に健康かつ快適に過ごせる室温は、英国保健省やWHOより18度以上と言われています。

室温18度は、カーディガン~長袖シャツでちょうど良く過ごせる服装となります。

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室温18度の基準を元にした室温と検診結果の相関関係のグラフとなります。

室温18度を境に寒冷群と温暖群と分け、身体の健康状態にも大きく影響を及ぼすことが分かります。
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室温18度の基準を元にした介護予防の相関関係のグラフとなります。

温かい住まいが健康寿命を延伸し、高齢者の介護予防の視点で見ても、室温18度以上が健康面で大切であることが分かります。
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3)断熱性能向上と疾病改善の関係
断熱等級4は、現在、住宅を新築する際に必要な最低基準の断熱性能となります。
こちらのグラフは、断熱等級3から断熱等級4へ。断熱等級4から断熱等級5へ。住まいを転居したことにより、疾病の改善率を表したグラフとなります。

断熱等級3から4は緩やかな改善率でしたが、断熱等級4から5は改善率の向上が顕著になり、
断熱等級5以上にすることが、健康面においてとても重要であることが分かります。
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4)夏の熱中症の影響
これまでは冬期をメインにお伝えしてきましたが、次は夏期の影響をお伝えします。
年齢階級別・発生場所別に見た熱中症患者の発生割合のグラフとなります。

若年層はライフスタイルの関係もあり、日中の作業や屋外で発生する割合が大きいですが、
65歳以上になると、定年などの関係もあり、自宅で発生する割合が極めて高くなっています。
年齢により暑さ・寒さが感じにくくなる影響も要因の1つと考えられます。
これら4つの観点から、断熱を行うことが快適かつ健康に過ごす上で大切であることが分かると思います。
次回は、断熱性能に加え、遮熱性能も加味しながら、TAWs DESIGNでは、どのような考え方で快適な温熱空間を検討していくかをお伝えしていきます。